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MODEL 02

ブランディングの視点を取り入れた知財支援

商標出願に「ブランド戦略」の視点を加え、
真に必要な知財の取得・活用を伴走支援する。

OVERVIEW 概要

ブランディングの視点を取り入れた知財支援とは

弁理士は、商標出願の依頼を受ける際に、依頼者が出願を希望する商標に対して商標調査を行い、登録可能性を判断した上で権利化手続を進めることが一般的である。

しかし、その過程でブランディングの視点から商標の適否等を助言する場面は、現状では多くない。

一方で依頼者側も、ブランディングの視点を欠いた商標採択の事例が少なくない。例えば、「新商品を発売するので商標を取得する」「新機能を付加したので名称を変える」といった意思決定が行われることが多く、ブランド全体の整合性や拡張性が十分に検討されていないケースが散見される。

このような状況下で、弁理士が本件モデルを実践し、ブランディングの視点を取り入れた知財支援を提供することにより、依頼者は自社ブランドの方向性を体系的に理解でき、真に必要な商標を取得・維持することが可能となる。

その結果、依頼者との信頼関係はより強固なものとなり、弁理士は適正な対価を維持しやすくなるとともに、商品企画段階から相談を受ける機会が増加する。これにより、弁理士は、商標出願のみならず、同依頼者の他の知的財産業務(特許・意匠・著作権・不正競争防止法等)についても相談を受ける可能性が高まる。

本件モデルは、弁理士が従来の権利化業務にブランディングの視点を取り入れることにより、依頼者が真に必要とする知財の取得・活用を支援できるとともに、弁理士業務の拡張にも資するものである。

本件モデルでできること

権利化前段階からの戦略的な助言

1. 戦略的助言の観点

本件モデルを実践することにより、弁理士は、権利化手続の前段階から戦略的な助言を行うことが可能となる。

  • その商標はどのようなブランド戦略上の位置付けか
  • その商標は本当に必要か(ブランド体系上の整合性の確認)
  • 出願によるデメリットや将来的な制約はないか
  • 海外展開を視野に入れた名称か、文化的な差異に耐え得るか
「出願ありき」ではなく、ブランド戦略と整合した知財支援が可能となる。

2. 本件モデルを実践するメリット

  • 依頼者との信頼関係が強化される
  • 商品やサービスの企画段階から相談を受ける機会が増加し、特許・意匠・商標・著作権・不正競争防止など知財全般へのトータルサポートへと発展する
  • ブランド価値向上に貢献する結果、適切な対価の維持や単価向上に理解が得られやすくなる
  • ブランディングを理解した弁理士として認知されることで、コンサル会社やデザイン会社等からの連携依頼も期待できる
本件モデルは、依頼者への付加価値の提供と弁理士業務の拡張を同時に実現する取り組みである。
事例

業務用調理機器メーカーの仮想事例

ブランディングの視点を取り入れた弁理士の支援により、商標戦略が大きく変わった事例をご紹介します。

1背景

依頼者は業務用調理機器メーカーの社長である。これまでOEMを中心に事業を展開してきたが、独自開発した微粒子振動加熱技術を搭載した新型フライヤーの完成を機に、初めて自社ブランドでの販売を計画した。製品開発には自信があったものの、ブランド設計や商標戦略の経験は乏しく、社内公募で決定した名称を商標登録したいとの依頼を受けた。

2ヒアリング

依頼者:

新しいフライヤーをリリースします。社内公募で一番人気だった“しゅわっとフライヤー君”で商標登録をお願いします。

弁理士:

商標登録の話をする前に、まずはネーミングの位置付けを確認させてください。この製品を通じて、顧客にどのような価値を届けたいと考えていますか?「ブランドに対する企業のこだわり」と言い換えることもできます。

依頼者:

微粒子振動加熱という独自の技術により、食材の水分や旨味を閉じ込めて揚げることができます。熟練の技を必要とせず、誰でも簡単においしい揚げ物が作れる体験を届けたいと考えています。

弁理士:

なるほど。ターゲットはどの層でしょうか?

依頼者:

まずは飲食店向けですが、将来的には技術提供先も増やしていきたいと考えています。

弁理士:

販売先は国内のみですか?

依頼者:

最初は日本のみですが、将来は海外進出も視野に入れています。

弁理士:

この技術はフライヤー以外にも応用できますか?

依頼者:

もちろんです。オーブンやグリルなど、加熱技術として広く応用可能です。

弁理士:

これまでの話を踏まえると、“しゅわっとフライヤー君”という名称は、御社が目指すブランドの方向性と必ずしも一致していないように思われます。ディスカウントストア等で販売するBtoC向けの製品であれば、キャッチーな名称で魅力的ですが、食材の水分や旨味を閉じ込める技術を想起させ、グローバルでも通用する名称とするべきです。また、将来的にオーブンやグリルなどにも展開していくなら、名称に「フライヤー」という限定を入れないほうが良いでしょう。

依頼者:

社内公募の結果を活かせないのは残念ですが、そのご指摘はよく理解できます。……困りましたね。あっ、そういえば、技術開発のときに社内で“AURA TECHNOLOGY”という技術名称を検討したことがありました。食材の水分や旨味を包み込み、プロテクトするイメージです。

弁理士:

それは非常に良い名称です。例えば、微粒子振動加熱という独自技術に関する事業について“AURA”という大きな括りの事業ブランドを立ち上げ、その中核となる技術を“AURA TECHNOLOGY”という技術ブランドとすることで可視化し、AURAブランドからリリースされる商品については、商品ごとにバラバラの名称を付すのではなく“AURA”ブランドの商品群であることが一目でわかりように、AURA®という共通の商標を付していく戦略が考えられます。AURAブランドから生み出されるフライヤーですと“AURA®FRYER”となりますし、他社にAURAブランドの技術を供与した場合には“他社商標 powered by AURA TECHNOLOGY®”のように技術ブランドに係る商標の使用を許諾するイメージです。

依頼者:

なるほど。今後、新たにオーブンやグリルを販売する際にも、同じ“AURA”ブランドのもとで、“AURA® OVEN”や“AURA® GRILL”として展開できるということですね。

弁理士:

その通りです。技術や顧客が共通しているのに、わざわざ個別ブランドを立ち上げて個別商標を採択するのは非効率ですし、ブランドの差別化も難しくなります。それよりも、技術や顧客が共通しているのなら、その事業そのものをブランド化し、コアとなる技術を技術ブランドとして可視化し、これらに共通して用いる商標をしっかりと保護して周知化していくべきでしょう。共通する技術から生み出される製品群は共通するブランドとする(=共通の商標を用いる)ブランド体系を構築することで、フライヤー以外の調理機器への展開や海外展開、他社製品への技術提供の際にも、同じブランド名称を一貫して使用できるため、ブランドの浸透力も高まります。

3弁理士によるブランド的分析と助言

弁理士は、依頼者の事業方針・技術特性・将来展開を踏まえ、ブランド構造と商標体系の最適化を提案した。

(1) ネーミングの見直し

  • ・“しゅわっとフライヤー君”はBtoC向けの感性的ネーミングであり、飲食店や機器メーカーが主体となるBtoB市場に馴染みにくい。
  • ・一方で、「AURA」は開発当時の想い(包み込む/守る)を体現しており、ブランドの中核として採用する価値が高い。

(2) ブランド構造の設計

  • ・事業ブランド:「AURA」で商標登録
  • ・技術ブランド:「AURA TECHNOLOGY」で商標登録
  • ・ブランドの下で展開する製品群:「AURA® FRYER」「AURA® OVEN」「AURA® GRILL」等(個別にブランド化せず、個別商標の採択/登録も行わない)
  • ・他社製品への技術提供:「◯◯◯◯(他社商標) powered by AURA TECHNOLOGY®」(商標表示義務を課す)

→ 事業ブランドの中核に技術ブランドを置き、限られた知財資源を「AURA」と「AURA TECHNOLOGY」の権利化・周知化等に集中させる。個別の製品名については、事業ブランドの商標である「AURA」に製品の普通名称を組み合わせたものであるため、製品ごとに個別ブランドを立ち上げず、また、製品ごとの商標登録も行わない。

(3) 海外展開への対応

はじめから欧文字商標を基軸に据えることで、グローバル市場での統一感を確保できる。適切なタイミングで外国商標出願を行うことを提案。

(4) 技術ブランドの運用設計(技術供与を見据えて)

技術提供先に対しては、商標ライセンス契約を締結し、ブランド使用ルール、品質管理条項等を明確化する。

※ 上記はあくまでも仮想事例であり、実際に商標登録できるか否かの法的検討は行っていません。

ブランド体系図

コーポレートブランド
○○株式会社
微粒子振動加熱事業ブランド
技術ブランド

自社製品群
FRYER
OVEN
GRILL
...
他社ブランド△△
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4弁理士の作業別手数料モデル(タイムチャージ例)

作業区分 主な業務内容 時間
①ブランド戦略ヒアリング開発経緯・顧客層・使用目的の整理・ブランド理念の抽出。事業ブランド「AURA」、技術ブランド「AURA TECHNOLOGY」製品群「AURA FRYER」等の関係整理。1〜10h
②ブランド使用指針策定社内向け・技術提供先向けのルール作り1〜10h
③契約書サポート技術提供先との商標使用許諾契約のドラフト作成支援1〜10h
④社内セミナー・レクチャーブランディングの社内啓蒙を促すセミナー。ブランディングを経営戦略に活かすための経営者向けレクチャー1〜5h

従来の権利化業務では得られない「事業成長に直結する知財支援」を提供するものであるため、従来の権利化費用に加え、ブランド戦略への関与部分を付加価値型業務として費用設定できる。

弁理士が本件モデルに関わる意義

弁理士が扱う商標や意匠は、単なる法的権利にとどまらず、企業が自らの理念や価値を社会・顧客に伝えるための重要なブランディングツールである。だからこそ、弁理士は、単に登録を代行するだけの存在ではなく、企業ブランド戦略パートナーになり得る。

特に中小企業では、経営者自身が知財の相談窓口になることが多く、弁理士は経営層と直接対話できる立場にある。その場でネーミングの妥当性やブランド戦略の必要性を伝えることで、企業の経営判断にも影響を与えることができる。

また大企業においても、社内担当者が経営層へブランディングの重要性を伝えきれずに苦労しているケースが少なくない。弁理士が外部専門家としての信頼性を武器に経営層へ働きかけることで、社内だけでは動かせなかった意思決定を後押しする機会が生まれる。これは広告会社やコンサルタントには得がたい立場である。

さらに弁理士は、法的視点から名称やデザインの妥当性を判断し、登録可能性を踏まえて改善提案まで行える。この「権利化×ブランド提案」の力は、弁理士ならではの独自の強みである。弁理士は法律家でありながら、企業の想いを社会へ橋渡しする一助にもなれる。

弁理士が本モデルに関わるメリットと将来展望

企業にとって、商標や意匠の取得は単なる法的手続ではなく、ブランド価値を市場に浸透させ、信頼を獲得するための経営判断である。本RMを実践する弁理士は、その実現に寄与できる立場にあり、企業に対して以下のようなメリットを与え得る。

1. 経営戦略に踏み込んだ知財提案

ブランドの位置付け・市場での伝わり方・競合との差別化・将来展開の拡張性等を踏まえて商標・意匠を評価するため、戦略に整合したブランド構築が可能となる。

2. 法的安定性 × ブランド価値の両立

登録可能性だけでなく、ブランドコンセプトとの一貫性を担保した提案が受けられるため、無用な商標の採択の回避につながる。

  • ・BtoB展開を阻害しないネーミング
  • ・他商品への展開を見据えたネーミング
  • ・他社への技術供与を見据えたネーミング
  • ・海外でも通用するネーミング

3. 権利運用面でのブランド統一性

模倣品対策などの権利行使にとどまらず、ブランド使用ルール・ライセンス契約の整備を通じて、市場におけるブランドの統一性を維持できる。

DOCUMENTS

関連資料

この事例に関連する資料をご覧いただけます。
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MODEL PROVIDER
齊藤 整 弁理士

ブランディングの視点を取り入れた知財支援を実践し、企業のブランド戦略パートナーとして活動しています。